版画では結構有名なんです、大野城市
2026.09.07
大野城まどかぴあ版画ビエンナーレ
「選外」と書かれた通知を受け取る。そりゃそうだと納得はするもののちょっと残念。たった数回習っただけで入選なんてあるはずがない。アートにビギナーズラックはないのである。
書をベースとしたアート作品を制作しているのだが他ジャンルのアート作品からインスパイアされることも多い。特に版画の黒の輪郭線のニュアンス(例えば棟方志功のような)に心を掻き立てられていた。そんな中、「大野城まどかぴあ」で版画ワークショップが行われていると知り参加してみることに。作品を作る中、せっかくだからと応募してみた「大野城まどかぴあ版画ビエンナーレ」。実はかなりレベルの高い公募展だった。
応募総数225点。全国津々浦々、17才から91才まで幅広い層から作品が集まった。入賞5点、入選は40点という狭き門。審査員は武蔵野美術大学 池田良二名誉教授、多摩美術大学 海老塚耕一名誉教授、九州産業大学 古本元治名誉教授という豪華な方々である。「先生に審査していただくだけで光栄」と応募する方もいるそうだ。
今年で15回目となるこの版画ビエンナーレは、「大野城まどかぴあ」の初代館長で版画家の池田満寿夫氏の功績を称えるとともに、また版画芸術振興を目的として2年に1度開催されていて、毎回多くの応募がある全国規模の公募展なのである。(ビエンナーレとはイタリア語で2年に1度という意味。ちなみに3年に1度はトリエンナーレ)
その入賞・入選作品展が「大野城まどかぴあ」の多目的ホールで、6月28日(日)~7月20日(月・祝)の期間に開催された。
版画というと小学校で習った白黒の木版画を思い浮かべるが、その概念はあっけなく覆されてしまう。落ち葉や、手すき和紙、デニムなどが使われている作品もあり、およそ凡人の想像をはるかに超えている。
写実的なもの、抽象的な造形、陰影と色彩のグラデーションの美しさ、考えさせられる発想の起点。作品の奥にあるそれぞれのアーティストの思いがほとばしる。版画というジャンルの奥深さに圧倒される。
また会場では池田満寿夫氏の作品も観ることができた。版画だけでなく、芥川賞作家でもあり、映画監督でもあり、陶芸家でもあり、要するに天才。そんな氏の作品は時代を超えて斬新であり、観る人の心をえぐってくる。
厳しい審査を通過した素晴らしい作品、超一流の作品を無料で公開している太っ腹な「大野城まどかぴあ」。作品展示だけではなく、より多くの方に版画へ興味を持ってもらうため、定期的に版画のワークショップも開催している。今回の私のように、ワークショップをきっかけにビエンナーレへ応募する方も増えているそうだ。
大野城市から全国に向けて発信するアートの祭典へと成長している「大野城まどかぴあ版画ビエンナーレ」。「芸術、文化の風をこの街に」という初代館長 池田満寿夫氏の志は着実に引き継がれていると感じた。